世にも奇妙なオンナ上司の話

 

 

あれは昨年12月26日のこと。

 

 

 

あの頃私たちはただひたすらに

キャンペーンの準備に追われていた。

 

 

 

外注している、

本日納品予定のwebページの

制作が追いついておらず、

制作会社から

「約束していた今日中の納品は

間に合わない」という連絡が来たのだ。

 

 

女上司はスケジュール通りにいかない

イライラをそのまま私にぶつけた。

顔を真っ赤にして半泣きで

取り乱しながら、半狂乱で、

思いっきり私に当たってくる。

「ねぇ、なんでできないの?!

そういうとこだよ!」

 

 

 

怒号がフロア中に響き、

隣のグループの人たちもこちらを向く。

とにかく感情の起伏が激しい人なので

如実に顔に、声色に出る。

すごい剣幕だ。

 

 

 

 

 

仕事とはいえ自分より20も年上の、

それも社外の人を煽るのは心苦しい。

 

もともと、相当タイトなスケジュールで

無理なお願いをしているので、

なおさらである。

 

 

しかしここで遠慮していては

女上司から私の責任になすりつけられるため

仕方なく下請けを叩く。

 

 

板挟み状態の私が、

今できることといえば

とにかく下請けを叩き、

急かすことしかない。

 

 

 

「すみません。。。お忙しいところ

心苦しいんですけど、

何とか今日中に

間に合わせてもらえませんか?」

 

 

 

その時期、

色々な納期が迫り、

みんなピリピリしていた。

そのオンナ上司から

きつく当たられることも

もはや日常になりかけていた。

 

 

しかし、私にはどうしても「今日」は絶対に

怒鳴られたくない、

穏便にやり過ごしたい理由があった。

 

 

 

 

何故ならこの日、産休中の女の先輩が

会社の近くまで来てくれるというので、

その大好きな先輩とランチに行くことが

1ヶ月前から決まっていたからだ。

2人ならなんの問題もないのだが、

そのヒステリック女上司と3人で

ランチすることになっていたのだ。

 

 

普段ならこのヒステリック女上司と

私が一緒にランチに行くことなんて

まずないが、

(なぜかって?単純明快。

この人といると心が休まらないから笑)

 

 

よりによってこの日、3人でランチする

ことになっていたのだ。

 

 

私としては、

気持ちよくこの日を迎えたかった。

なので朝から最善の注意を払っていた。

怒らせないように。

 

 

 

なのに、下請けのせいで

こんな怒鳴られる羽目になるとは。。

どんな顔してランチ行けばいいんだ。。

 

 

 

で、何が世にも奇妙なのかって?

それについてはここから。

 

 

 

時計を見ると時刻は11:30。

ランチの時間が迫っていた。

 

 

とりあえず散々怒鳴られて疲れ果てて

いたので、ちょっと一息つこうと思い、

女子トイレへ向かう。

 

(嗚呼、疲れたなぁ。

せっかく久しぶりに産休中の先輩に

会えるのは嬉しいけど、

ヒステリック女上司もいるし。。

この後どんな顔して

ランチしたらええねん。。)

 

 

とトイレの鏡に映る自分を眺めながら

憂鬱な気分になっていた。

 

 

するとそこに、なんと当の本人、

ヒステリック女上司がやってきた。

 

 

せっかくトイレに逃げ込んできたのに

トイレでまた会うなんて、

なんて運が悪いんだ〜と心の中で

嘆きながら「お疲れ様です。」

と言うと、

その女上司は

次の瞬間こんなことを私に聞いたのだ。

 

「大丈夫〜〜??>  <  心配だよ〜〜。

    最近笑顔見てないから。」

 

「........?!?!?!」

 

衝撃的だった。

私が今こんなに憂鬱なのは

この人に怒鳴られたからなのに。

あなたに目の敵にされて

心身ともに疲れ果てているのに。

その本人から大丈夫かと尋ねられるなんて。

 

 

二重人格なのか?

それとも新しい何か?

こんな経験は今までなかった。

 

 

 

この女上司、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイコパス役をやったら、

カンヌ国際映画祭最優秀主演女優賞

受賞間違いなし。

 

 

おわり